HOME > 【MBA合格体験記】藤井崇さん(37歳)香港大学(HKU)
名前 :藤井崇さん
年齢 :37歳(MBA受験時)
勤務先 :鉄鋼商社
MBA受験中のお住まい :インド他
進学校 :香港大学(HKU)
(MBA Lounge 川尻、以下川尻)MBA留学前はどんなお仕事をしていましたか?
(藤井崇さん、以下藤井さん)もともと技術系のバックグラウンドでしたが、学生時代に海外への短期留学やインターンシップを経験したことで、より深く人と関わる仕事がしたいと思うようになり、2007年に鉄鋼商社の株式会社メタルワンへ入社しました。入社してから10年間は日本国内で造船、重工、自動車メーカー向けの取引を数多く担当させて頂き、客商売の厳しさを学びました。
その後、2017年11月より、鉄鋼メーカーの事業会社へ営業副部長としてインドへ出向させて頂き、7名のローカルスタッフのマネジメントや、新規ビジネスの構築を任されています。ハードシップの高い環境ではじめは戸惑うことばかりでしたが、根気強く努力を継続できたことで周囲からの協力も得られ、マネジメントやマーケティング業務を中心に多くの成果を残すことができました。
(川尻)なぜMBAを取得しようと思ったのですか?
(藤井さん)大きく三つあります。第一に、入社以来営業経験しかなかったのがコンプレックスでした。アカデミックなスキルがあれば、事業投資や事業会社の社長を経験できたかもしれません。モチベーションが上がらなかったのが原因かもしれませんが、自分への投資を怠ってきたので、良いチャンスに恵まれるのに時間がかかりました。
第二に、インド駐在時に、MBAホルダーでもある職場の上司に影響を受けました。特に、マーケットを分析し、綿密な計画を愚直に実行する姿に感銘を受けました。当時会社の経営は撤退直前まで追い込まれていましたが、2017年に設立以来初の黒字となり、2018年以降も予算過達が続きました。その後、MBAホルダーが主催するセミナーに参加し、マーケティングを学びましたが、学びを職場で試行錯誤しているうちに、成果に繋がっていることを実感し、学びへの欲求が更に高まりました。
最後に、将来起業家としてビジネスをするのであれば、再起不能な失敗はできないので、事前の防衛策として、限られた時間と情報の中で議論をし、決断する練習が必要だと思いました。
(川尻)なぜMBA Loungeのサービスに申し込もうと思ったのですか?
(藤井さん)MBAを受けられる英語力がついてきた時点で、アプリケーションや面接対策について考えるようになりましたが、自力で納得のいく準備を進める自信がなく、まず有名な留学予備校のお話を一通りお伺いしました。
他校でも優秀な講師がいて立派な実績があることは確かでしたが、優秀な学生を抽出し、トップスクールに一人でも多く入学させることが目的になっていて、一人ひとりの個性をリスペクトしている気がしませんでした。そもそも教える側と教わる側は対等な立場であるべきだし、各々のバックグランドによって悩んでいる内容やその深さも違う為、個人に集団のやり方を強制するやり方には共感できませんでした。
一方、MBAラウンジでは、一人ひとりの生徒と一緒に切磋琢磨しようというアットホームでもあり、真摯な姿勢を感じました。当然、現役のMBA生からも良い噂を聞いていました。
(川尻)MBA Loungeのサービスを受けてどう変わりましたか?
(藤井さん)長い間、まともに相談もせず準備を続けてきたので、MBAラウンジにはまず、MBAに対する思いやスコアメイクするまでの苦労など、全てを打ち明けました。当時川尻さんに、大丈夫です、一緒に頑張りましょう、と言って頂いたことが大きな支えになりました。
(作業はまず、自分史を振り返ることから始まりました。具体的には、自分はこれまで何に影響を受けてきたのか、どのようなことで感動したり、悔しかったりしたのか等々、全て書き出しました。CVやエッセーを書く際、趣味や特技に関する話題でさえ、素晴らしい経験なんだから書かないと勿体ない、と言ってもらえたことで、自分では気づかなかった強みを改めて認識し、前向きに取り組むことができました。
川尻さんのアドバイスがなければ、浅く表面的な文章になっていたと思うし、何より楽しくない作業をして、アドミッションにも響かなかったと思います。非常に上手に個性を引き出してもらいました。
(川尻)なぜ香港を選んだのですか?
(藤井さん)まず重視したのがダイバーシティです。インド駐在で文化や商習慣の違いを実感したのをきっかけに、グローバルスタンダードやアジアスタンダードの理解が浅いことに危機感を抱き、更に追求したいと思うようになりました。
二つ目に、将来中国を中心にトレーディングをしたいと考えており、多くのコネクションを持ちたいと思いました。特に、香港は次世代のトレンドを担うであろう深圳が地理的に近いこと、アジアの中でもビジネス環境が整備されていることも魅力です。最後に、香港とシンガポールを最終候補としましたが、地政学的に安定しているシンガポールと比べ、香港は欧州の文化と融合していること、今後も世界情勢の影響を強く受けることが予想されることから、学びの機会が多いと感じました。
(川尻)なぜHKUを選んだのですか?
(藤井さん)香港には大きく3つのトップスクールがありますが、最終的には、在校生やアドミッションと話した時の印象で選びました。
特に、在校生からのエピソードで、一人ひとりの個性を最も尊重してくれるスクールだと感じました。具体的には、年齢やスコアに縛られず、面接を最重要視している為、きっと世界中から個性の強いメンバーを集めてくれて、既存の枠に捕らわれない闊達な議論ができるだろう、と思いました。
私自身、教育に年齢は関係ないと思っているし、スコアに関しては、授業についていくだけの英語力があれば十分だと思います。それよりも、一人ひとりの貴重な経験を尊重してくれるスクールなのか、ということが大切です。更に、全ての科目で合格点をとっていくジェネラルなスタイルではなく、学びたいことをフレキシブルに選択し、より得意なことを伸ばせるスタイルに共感しました。最後に、多くのスクールが採用している交換留学制度ではなく、ニューヨークやロンドンの学生として、4か月間学べる点も魅力でした。
(川尻)スクール選びで悩んだことは?
(藤井さん)トップスクールであればMBAで学ぶ内容自体に大差なく、また、勉強したいだけなら参考書を買えば十分です。
ランキングやコスト以外の点で、そのスクールに何を期待し、どんな価値を得たいのか、良く考える必要があります。まずやるべきは長期的なキャリアプランを明確にすることです。キャリアプランというのが堅苦しければ、将来どんな生活をしていたいか、という目標で良いです。
はじめは何がしたいのか曖昧でしたが、川尻さんのアドバイスに従い、過去、現在を整理することで、将来どこで何をしていたいのか、明確にすることができました。ここまでやってなぜ今MBAが必要で、どんなスクールが必要なのか、ということが見えてきます。人によっては、より優先すべきことが見えてMBAは必要ない、となるかもしれませんがそれも立派な結論です。
私は結果的に、米国、欧州、アジアのトップスクールは全て調べ、気になったスクールは在校生やアドミッションとコンタクトを取りましたが、偏差値だけで目標設定した大学受験と比べると、自ら香港、HKUという選択ができたことを誇りに思っています。
(川尻)受験準備には通算でどのくらいの期間を要しましたか?
(藤井さん)途中、結婚や妻の出産等のライフイベントがありましたが、かれこれ6年が経ちました。学生時代に800点近くあったTOEICスコアは500点台まで下がっていましたが、その後ほぼ毎日勉強を続け、4年以上を費やしてIELTSのスコアを取りました。後半の2年間は、飲み会やゴルフ等、不要なイベントはすべて断り、準備に専念しました。
(川尻)受験準備で一番苦労したことは?
(藤井さん)スコアメイクです。海外MBAを志すのであれば英語力は欠かせません。特に、リーディングに殆どの学習時間を費やしましたが、結果的にリスニング、ライティング、スピーキングスコアを上回ることはできませんでした。
更に、GMATやGRE対策には800時間以上を費やしたにも関わらず、Vervalスコアは下位10%のパーセンタイルを上回ることはできませんでした。未だに失読症ではないかと疑っていますし、単調で進歩の感じられない日々は長く辛いものでした。誰からもプレッシャーをかけられることもありませんので継続できるかどうかは自分の気持ち次第です。
(川尻)受験準備で失敗したなあ、と思ったことは?
(藤井さん)留学予備校に頼りすぎたことです。はじめIELTS対策で留学予備校を頼り40万円を費やしましたが、全くスコアは伸びませんでした。留学予備校は勉強のやり方を教えますが、スコアの保証はしません。安心を買っても継続して努力できなければ結果は得られません。一人で進めるのは不安でも、まずは自分でやってみて、悩んでもできないところだけサポートをお願いする、というマインドが大切だと思いました。
(川尻)MBA取得後のプランは?
(藤井さん)引き続き、自分への投資は怠らず、やりたいことをやっていくつもりです。具体的には、近い将来、空飛ぶ車で移動する社会が実現するよう、起業の準備を進めています。幸い、貯金で株式投資や不動産投資を実践し、暫くは家族3人で生活していける資金も作りました。初めは、会社は休職しつつ転職活動をして、スキルが身に付いたら副業をして、と温いことばかり考えていましたが、エッセーを深堀しているうちに、やはり自分は起業がしたい、という意思が固まりました。14年間お世話になった会社は退職し、よほどのことがなければ転職活動をするつもりもありません。
(川尻)これからMBAを目指す方にアドバイスをお願いします。
(藤井さん)まず、MBA留学に対して賛否ある中、その価値を判断するのは自分です。例えば、コスパ議論が良くありますが、MBA後に生涯年収が100億円増えるとしたら、議論するまでもありません。前提の置き方、つまり気持ちの持ち方次第で選択は変わり、未来は変わります。次に、現状に満足していない方はチャンスです。悔しさは目標を達成する支えになってくれます。いつの間にか、私の生活は会社にコントロールされていました。厳重な規則で縛られ、時間は管理され、大きな選択権はありません。死ぬ直前の自分はそれで納得するのだろうか、と考えました。
そして、より険しいが充実していて、自由になれそうな道を選びました。限られた時間を何に投資するのか、自分の頭で考え抜くことが、これからの時代に求められています。
(川尻)川尻にメッセージをお願いいたします。
(藤井さん)短い間でしたが、不安を最小限に、程よい緊張感で落ち着いてアプリケーションや面接対策を進めることができました。推薦者から拒否されたときは焦りましたが、川尻さんのユーモアとアドバイスで楽しく乗り越えることができました。
普段割と気が短いのですが、ノーストレスで進めることができたのも、川尻さんのクイックレスポンスと経験に裏付けされた内容あってこそだと思います。
そして、GPAやGREのスコア不十分ながらも、第一志望から奨学金付きでオファーを頂いたことに加え、希望したコロンビア大学へのトラックも決まりました。入学後も、卒業後も、教えを乞うことがあるかもしれませんが、引き続き、宜しくお願い致します。