MBAケーススタディ:ダライ・ラマ法王の経営ノウハウ4つ
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ケーススタディはMBA学生にとって欠かすことの出来ない重要なワークのひとつです。
多くのビジネススクールのケーススタディでは、学生同士チームを組んで、仮想コンサルタントまたは仮想CEOとして、ある企業の特定の経営問題について問題点を討論し、解決策出して発表する、というワークが行われます。
ケーススタディで、問題点を討論し解決策を出すまでの一連の流れの中で、MBAの学生たちは講義で学んだ経営理論や過去に実際に起こったビジネス事例などを参考に、自分たちの答えを出すことになります。
私がおススメする手法は、世界のリーダーがどのような考え方をもって、国や地域、そして企業を先導しているのか調査するというものです。
今回は、国をリードするノーベル平和賞受賞者でもあるチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世法王の名言からケーススタディで役立つMBA経営ノウハウ4つをご紹介します。
(画像出所:http://news.ameba.jp/20131001-83/)
目次
1.ライバル企業を観察する【企業分析】
ダライ・ラマ法王は、こう言っています。
「仮想敵は友人より価値がある。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p137)
あなたは友人と一緒に過ごすのと、敵と一緒に過ごすのとではどちらが好きですか?
答えは聞くまでもありませんよね。ただ、ダライ・ラマは、敵のほうが友人が教えてくれないことを教えてくれる、言っているんです。
ビジネスの場合、なるべくライバル企業を観察できるところにいた方が良い場合もあります。それによって、自社の市場でのポジションや強み、弱みを知ることができるからです。
特に、MBAの「起業学(アントレプレナーシップ)」などのクラスで、起業を想定したケーススタディが課題となった場合は、既に市場に進出しているライバル企業を調査し、どのような経営を行っているのかを観察することは、起業後に市場でのポジションを確保するために大切なワークです。
起業学(アントレプレナーシップ)や経営戦略のケーススタディでは、論理的にライバル企業を分析して自社戦略を策定するに留まるだけではなく、ライバル企業からのあらゆる妨害を受ける可能性も想定する必要が出てきます。それに対する予防策を考え備えておくことで、企業としてよりたくましい戦略を策定することができることになります。
2.顧客や社員の声に耳を傾ける【マーケティング】
これはマーケティングの基本とも言えることですね。
特にダライ・ラマ法王は民衆の声を常に欲していました。
「指導者たらんとする者、いつも民衆を身近に感じていなければならない。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p282)
「人々に会うときは、いつもその人々に何が出来るかを知ろうとし、その人たちから何かを学ぼうと心がけてきた。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p293)
政治的な意思決定をする際、ダライ・ラマ法王は常に民衆の声を反映させるよう心がけています。しかしながら、チベットの最高指導者が街中を一人でブラブラするわけにもいかず、彼はこっそりと宮殿を抜け出しては民衆と会話をしていました。
市民から「どなたですか。」と聞かれると「ダライ・ラマの召使ですよ。」とダライ・ラマ本人が言っています。(『ダライ・ラマ自伝』p177)
MBAのケーススタディでも、課題によっては市場の声を聞くためにマーケティングリサーチのプランを考えることも出てくるでしょう。
ダライ・ラマ法王のように市場の声に耳を傾け、それを今後の経営判断をするための材料として活用する事業計画を策定することも重要です。
3.人の適性を見極める【人事戦略】
ダライ・ラマ法王は、長年中国からの弾圧と戦い続けており、今でもそれは続いています。これまでも毛沢東を初めとして歴代の中国の指導者と面会しチベットのあり方について話し合ってきました。
「社会的に直接影響力のある人間が何か悪いことを考え、実行に移したら、それだけたくさんの人が傷つくか分かりません。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p316)
これはダライ・ラマ法王の平和に対する気持ちのこもった言葉と言えます。
中国からの弾圧を受けながらもチベットがあるべき姿でいるために、チベット政治の体制整備にも尽力を尽くしてきました。
「私はいつも重要な部署の人選は性別によらず、その人物の能力と適性によって決めるべきだ、人々に言い聞かせた。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p241)
適材適所でチベットの体制を整えてきたということです。
組織行動論や経営戦略のケーススタディでは、人の配置や権力の付与、報酬制度などの人事戦略を策定することもあります。人の適性と能力を見極め的確な人事戦略を策定していくことが大切です。
4.適切なリーダーシップをとる【リーダーシップ】
1970年代、チベット独立回復のためにチベットゲリラ軍が中国軍との戦いを繰り返していました。この戦いに対して、ダライ・ラマ法王はゲリラたちの決意の固さを賞賛してはいましたが、暴力が伴う彼らの行動自体を是認していたわけではありませんでした。
「わたしが彼らに訴えかけられる唯一の方法は、個人的にアピールするよりなかった。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p298)
ダライ・ラマ法王は、チベットゲリラ軍に向けて肉声で伝えたメッセージをテープに撮り、ゲリラ軍に渡すため遣いを送りました。そのテープの聞いたゲリラ軍の中には、それを無視して亡くなった者もいましたが、過半数は武器を棄てたそうです。
リーダーシップのケーススタディは、如何にして株主や社員とうまくコミュニケーションをとり、会社が望む方向へ舵取りができるかを訓練する場にもなります。リーダーシップにも様々なタイプがありますが、ダライ・ラマ法王はその地位や政治的影響力からカリスマ的リーダーシップの手法をとったといえます。
ケーススタディでどのリーダーシップを取るのかは、その状況を判断しながら選択していくこともなります。
まとめ
1.ライバル企業を観察する【企業分析】
「仮想敵は友人より価値がある。」
2.顧客や社員の声に耳を傾ける【マーケティング】
「指導者たらんとする者、いつも民衆を身近に感じていなければならない。」
「人々に会うときは、いつもその人々に何が出来るかを知ろうとし、その人たちから何かを学ぼうと心がけてきた。」
3.人の適性を見極める【人事戦略】
「私はいつも重要な部署の人選は性別によらず、その人物の能力と適性によって決めるべきだ、人々に言い聞かせた。」
4.適切なリーダーシップをとる【リーダーシップ】
「わたしが彼らに訴えかけられる唯一の方法は、個人的にアピールするよりなかった。」
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