MBAケーススタディ:アジア編「現代のチンギス・ハン郭台銘」
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MBAでは、ケーススタディで多くの企業や経営者を取り上げ、クラスメート達とディスカッションする機会を嫌というほど与えられます。特に日本人であれば、日本企業、日本人経営者はもちろんのこと、アジアの世紀である今日においては、アジアの企業、経営者にも精通しておくことがMBAのケーススタディでは大変有利です。
今回は、そんなケーススタディとして、アジアの巨人、鴻海科技集団(ホンハイ・グループ)とその創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)から、14兆円の超巨大企業、鴻海(ホンハイ)を経営するその術はどんなものか、見てみましょう。
目次
MBAケーススタディ: 現代のチンギス・ハン、郭台銘
現代のチンギス・ハンと言われている経営者をご存知ですか?
その経営者とは、台湾の鴻海(ホンハイ)の郭台銘(テリー・ゴウ)会長。2016年、シャープを買収したカリスマ経営者として注目されている人物です。台湾の専門学校を卒業後、海運会社でのサラリーマン生活を経て、1974年2月、23歳の時に鴻海プラスチック企業有限公司を立ち上げました。それから40年余り、たった1代で年間売上高約14兆円の超巨大企業、鴻海科技集団(ホンハイ・グループ)を作り上げ、2兆円企業シャープを買収した世界的経営者です。
専門学校卒の郭台銘(テリー・ゴウ)はもちろんMBAホルダーではありません。しかしながら、彼の現場叩き上げの経営手法で、現代のチンギス・ハンと呼ばれ、MBAホルダーや多くの高学歴の従業員を遣う立場にあります。
最近では、アメリカのウィスコンシン州に液晶パネル工場を建設するため、100億ドル(1.1兆円)の投資をおこなう計画を明らかにしてトランプ大統領からホワイトハウスに招かれ話題になりました。
黒子ビジネスからブランドビジネスへ
(画像出所:https://mainichi.jp/premier/business/articles/20160623/biz/00m/010/022000c)
1974年郭台銘(テリー・ゴウ)が創業した鴻海プラスチック企業有限公司は、25坪工場、従業員15人でスタートしました。白黒テレビ用のつまみをプラスチック成型するサービスとして始めたのですが、その翌年にはすぐに倒産の危機を瀕します。妻の実家から日本円で約550万円の融資をしてもらい、その危機をひとまず乗り切った、という幸先不安なスタートを切っているんです。
鴻海のような電子機器製品の受託生産企業をEMS(Electronics Manufacturing Service)企業と呼びます。鴻海の主要顧客にはアップル社などがあり、世界中に流通するiphoneの製造などを行っています。とは言うものの、鴻海ではただ単にアップル社から受け取った生産マニュアルに沿って製造しているわけではなく、製品の設計、試作の段階ならプロジェクトに携わり、部品調達、製造、発送、補修、アフターサービスまでを担当しています。
鴻海はシャープ買収でその知名度は上がりましたが、それまでは普通に生活をしていては中々耳にすることの無い企業でした。それもそのはず、上述の通り、鴻海はシャープ買収までは黒子ビジネスに徹していたためです。
シャープ買収で鴻海は自社ブランドを持つ形になります。黒子ビジネスからブランドオーナーとして新しいビジネスモデルを模索していくことになるでしょう。
シャープ買収後は、若い人材に魅力を感じているようで、以下のような発言もしています。
「必要な人材は40歳以下だけだ。40歳以上はよっぽど使える人しか残さない。」
(出典:『鴻海・郭台銘 シャープ改革の真実』 著:毎日新聞経済部 毎日新聞出版刊 2016年 50ページ)
2016年9月にシャープ買収後の発言です。
「シャープの最大の魅力は若者、若い技術者たちだ。」
(出典:『野心・郭台銘伝』 著:安田峰俊 プレジデント社刊 2016年 295ページ)
今後、鴻海がどのような戦略でシャープブランドを立て直していくのか注目するべきところです。
常に一流の顧客を持つことを心掛ける
そんな黒子ビジネスで苦労を経験してきた郭台銘はこう言います。
「常に一流の顧客を持て」
(出典:『野心・郭台銘伝』 著:安田峰俊 プレジデント社刊 2016年 187ページ)
アップル、デル、HP(ヒューレット・パッカード)、ソニー、任天堂、レノボ、キャノン、ノキア、アマゾン、、、、
鴻海の顧客リストには、世界を代表する有名企業がズラリと並びます。鴻海は、これらの超有名企業の縁の下の力持ちとして成長をしてきた企業です。
また、こうも言っています。
「 四流の顧客が力を合わせれば一流の顧客を獲得できる。」
(出典:『郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾』 著:張殿文 訳:薛格芳 ビジネス社刊 2014年 92ページ)
弱いものであっても、一致団結することで上述のアップルやソニーなどの一流顧客を勝ち取ってきたというのです。一流顧客に支えられてここまで成長してきたのが、この鴻海なんですね。
あえて独裁経営で会社を成長させる
(画像出所:http://mainichi.jp/articles/20160403/k00/00m/020/050000c)
良くも悪しくも、ホンハイの経営スタイルは独裁で知られます。
郭台銘自身、「独裁為公(独裁をもって公をなす)」と宣言しており、自らを独裁者と認め、独裁を貫く経営スタイルを採用していることが分かります。
(出典:『鴻海・郭台銘 シャープ改革の真実』 著:毎日新聞経済部 毎日新聞出版刊 2016年 22ページ)
鴻海の中国工場内での自由な発想、職場の改善提案などは許されていません。上司の命令は絶対服従が鉄則です。これは工場で働くブルーカーラーに限ったことではありません。
2012年、ある高級幹部が日本に留学中の娘に会うために休暇を取った際、フライト直前に会社から呼び出しがあり、「飛行機のドアが閉まったのでいけない。」と拒否したところクビになった、という逸話もあるほどです。
MBAの「リーダーシップ」の講義ではあらゆるリーダーの特徴を学ぶことになります。
郭台銘のいう「独裁為公(独裁をもって公をなす)」もひとつの考え方ではありますが、 MBAでは会社の業績を上げるにはコーチ型リーダーシップ、ビジョン型リーダーシップ、カリスマ型リーダーシップなど色々なタイプのリーダーシップがあります。自らの経験や知識から 会社を成長させる方法として郭台銘が選択しているのがこの独裁型リーダーシップなのかもしれません。
まとめ
世界最大級の企業、鴻海を率いる、現代のチンギス・ハン郭台銘の経営手法は以下の3つが特徴です。「製造業」「急成長した企業」「アジア企業」をテーマにMBAでケーススタディをするときは、鴻海を参考にまずはこの3つを抑えておきましょう。
黒子ビジネスからブランドビジネスへ。
常に一流の顧客を持つことを心掛ける。
あえて独裁経営で会社を成長させる。
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