もしもFacebookがMBAを提供するビジネススクールだったら
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MBA留学を目指している方にはとてもためになるFacebookに関するお話。
Facebookは、2004年にマーク・ザッカーバーグらによって設立され、いまや世界中で約19億人のユーザーを持つ巨大なSNSに成長したことは言うまでもありません。
Wikipediaによると日本での登録者数は2017年で2,700万人を超えた程度ですが、欧米やアジア(中国除く)では友人、知人たちとのコミュニケーションツールとして日常利用しています。MBAなどで海外に留学すると、海外でのネットワークも増えその利用度もさらに加速するでしょう。
Facebookはいまや17,000人以上の従業員を抱える企業ですが、もしも、この企業がMBAを提供するビジネススクールだったら一体どんなスクールになるのでしょうか?
Facebookの共同創立者マーク・ザッカーバーグのビジネススタイルの考慮しながら、もしも彼がFacebookをビジネススクールとして経営したらどうなるのか、検証してみました。
もしもFacebookがMBAを提供するビジネススクールだったら?
●大学中退者も出願、入学できる
MBAは大学院レベルのビジネスプログラムであるため、基本的にBachelor Degree(学士号)を保持していなければ出願することも入学することもできません。
しかし、もしもFacebookがビジネススクールだったら、きっと大学中退者でも入学できるでしょう。
創業当初、ザッカーバーグ自身、ハーバード大学を退学していることから大学中退者を歓迎する社風を持っていました。中退者は美徳とも考えていたようです。
Facebookでは「大学なんかで勉強しているくらいならFacebookで働け。」と一流大学の学生達に呼びかけ、さらに「もしまた大学に戻りたくなった場合はFacebookが学費を全額負担する。」という保証をしていたこともあります。
Googleの採用説明会が行われているという話を聞くと、ザッカーバーグはすぐにその場所へ飛んで行って「どうしてGoogleなんかに行くんだ。Facebookに来いよ。」と書いたチラシをGoogle説明会の前に配っていたそうです。
学歴よりもその人自身の才能を第一優先とし、Facebookをハッキングしたクリス・プットナムという当時19歳の大学生の技術に感心したザッカーバーグは、彼を採用し同社でエンジニアとして活躍をしました。
(出典:『フェイスブック若き天才の野望』 著:デビット・カークパトリック 訳:滑川海彦、高橋信夫 日経BP社刊 2011年 189ページ、254ページ)
●超実践的カリキュラム
一般的なビジネススクールでは、講義、ケーススタディ、インターンなどのハイブリッドのインプットで学生は経営について学びます。
ザッカーバーグはハーバード大学中退で、MBAホルダーではありません。
ハーバード大学時代からソフトウェア開発に熱中し、そのままFacebookのCEOになった感があります。そのため、彼は会社経営について勉強したことも経験したこともありませんでした。
しかし会社が大きくなるにつれて、彼も経営について学ぶ必要があることを実感し始めるようになります。そこで彼は、Facebook買収騒動で知り合い、師と仰いでいたワシントンポスト社のドン・グレアム氏を訪ね、CEOとしての働きぶりを見学させてほしいと依頼をしました。
グレアム氏から快諾を受けたザッカーバーグはワシントンポストの本社でみっちりと経営について基礎を学び、その後ニューヨークで投資アナリストにプレゼンをする様子を見学、合計4日間付きっ切りでグレアム氏からCEOとしての仕事を学んでいます。
(出典:『フェイスブック若き天才の野望』 著:デビット・カークパトリック 訳:滑川海彦、高橋信夫 日経BP社刊 2011年 196ページ)
もしもFacebookがビジネススクールだったら、カリキュラムは超実践的で企業のCEOに張り付きで学ぶ科目があるかもしれません。
●独特なAdvertisement講義
一般的なビジネススクールのAdvertisement講義では、消費者の行動を分析して以下に消費者の目に付く広告を作成するか、などの広告戦略を学びます。しかし、もしもFacebookがビジネススクールだったら、ちょっと独特なAdvertisement講義になるでしょう。
Facebookの主な収入源は広告であるにも関わらず、ザッカーバーグは広告が好きではありません。元々彼はITエンジニアですから、利益よりもユーザー体験を重視し、Facebookは公益事業であると宣言しているくらいです。
営業担当者が必死になって獲得した顧客であっても、たとえばサイトに入ると自動的に広告が出てくるポップアップ広告など、サイトのスムーズなユーザー体験を損なう可能性のある広告は、ザッカーバーグによってすべて却下されてしまいます。
2006年5月スプライトが、Facebookを一日だけスプライトのイメージカラーであるグリーンにしたら100万ドル払う、という提案に対してもザッカーバーグは却下しています。
(出典:『フェイスブック若き天才の野望』 著:デビット・カークパトリック 訳:滑川海彦、高橋信夫 日経BP社刊 2011年 257ページ)
もしもFacebookがビジネススクールだったら、ユーザー体験を重視したAdvertisement講義がカリキュラムに入るでしょう。
●利益重視のビジネスプランは落第
一般的なビジネススクールでは、ビジネスプランを策定する科目があります。マーケティング戦略、ファイナンシャル戦略、人事戦略などを立て、企業として利益を最大限にするための計画をグループで作成し、その内容を論文にしたり、プレゼンしたりする科目です。
もしもFacebookがビジネススクールだったら、利益重視のビジネスプランを書いても単位は取れないかもしれません。
ザッカーバーグは自身の企業経営経験を身に付ける間もなく、短期間で有名企業のCEOとなってしまいました。そのため、企業経営経験豊富な人物を幹部として招くのですが、彼らの伝統的な経営方法にはいつも対立していたようです。
雇われた幹部からしてみれば、企業の利益を上げることを優先的に事業計画を組み立てることは当たり前なのですが、ザッカーバーグにはその理屈は通用しません。
それにより、多くの幹部が退社していきました。
(出典:『フェイスブック若き天才の野望』 著:デビット・カークパトリック 訳:滑川海彦、高橋信夫 日経BP社刊 2011年 240ページ)
もしもFacebookがビジネススクールだったら、会社が儲かるビジネスプランよりも、ユーザーに素晴らしい体験をさせる儲からないビジネスプランの方が良い成績を取れるでしょう。
●実践的なネットワークが形成できる
MBA取得の大きなメリットのひとつは、同窓生や卒業生とのグローバルなネットワーク形成です。
一般的なビジネススクールでは、同窓生・卒業生専用のホームページを作成したり、それこそFacebookなどのSNSでグループを形成したりして、ネットワークを維持しています。
もしもFacebookがビジネススクールだったら、他のビジネススクールとは比べ物にならないくらい強力なネットワークが形成できるでしょう。
そもそもFacebookの概念はハーバード大学の学生専用のネットワーク形成ツールとして生まれたものです。ザッカーバーグが19歳のころ、遊び心で「コースマッチ」というソフトウェアを開発し、どの学生がその講義を取っているかを知らせて講義の選択を助けるサービスをハーバードの学生に提供しています。
(出典:『フェイスブック若き天才の野望』 著:デビット・カークパトリック 訳:滑川海彦、高橋信夫 日経BP社刊 2011年 19ページ)
もしFacebookがビジネススクールだったら、このコースマッチのようなサービスも復活するでしょう。また、現在のFacebookサービスと同じように、学生、卒業生一人ひとりの年齢、出生地、国籍、経歴、趣味、将来のキャリア、などの情報を個人アカウントに入力して管理されるようになるでしょう。
例えば、在校生がニューヨークの投資銀行で働きたい、と自身のプロフィールに入力したら、すぐに全世界の色々なネットワークを持つ卒業生たちが閲覧し、紹介をしてくれるかもしれません。
確かに既存のビジネススクール内のキャリアサービスやLINKED INでも類似したサービスはあります。しかしFacebookの行動ターゲッティングの仕組みなどの「テクノロジー面」と同窓生をサポートしたいという「人間心理面」の両面を刺激したFacebook MBAならではのサービスが出来上がるかもしれません。
学歴ではなくパフォーマンスやスキルの優秀な人材を確保することに比重を置いていたことが分かります。
まとめ
もしもFacebookがMBAを提供するビジネススクールだったら?
もちろん、そんなことは実際には無いでしょうが、Facebook、そしてマーク・ザッカーバーグがどんなビジネス感を持っているのかが少しは分かっていただけたのではないでしょうか。
もしもFacebookがMBAを提供するビジネススクールだったら、、
●大学中退者も出願、入学できる
●超実践的カリキュラム
●独特なAdvertisement講義
●利益重視のビジネスプランは落第
●実践的なネットワークが形成できる
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