HOME > MBAエッセイ・インタビュー対策:6つのリーダーシップスタイル(Leadership Style)
MBAプログラムを提供する主要なビジネススクールのウェブサイトではLeadershipというワードを頻繁に目にすることも多いです。それは、MBAは簡単に言えば短期でリーダーを養成する強化合宿のようなプログラムのようなものだからです。
MBA受験においても、エッセイやインタビュー対策として「リーダーシップ」についてはほぼ間違いなく回答をしていかなければならない重要なキーワードです。
What type of leader are you?
MBA受験でこのような質問にあなたはどのように回答しますか?
心理学者で科学ジャーナリストのダニエル・ゴールマンは、著書「『EQリーダーシップ。成功する人の「こころの知能指数」の活かし方』の中で、著者は6つのリーダーシップスタイルを紹介しています。
今回の記事では、この6つのリーダーシップスタイルに私の見解を反映し、一つ一つ説明をしていきますので、自分はどんなリーダーシップを取っているのかを改めて考えてみましょう。
リーダーシップスタイルは決して一人一つのタイプに分類されるわけではありません。2つ3つのタイプを同時にもっている場合もあります。更に言えば、本物のリーダーは組織の規模やメンバーの性格などによって、意図的に自分のリーダーシップスタイルを変えていく必要もあります。その自己分析した結果を、MBA出願のエッセイやインタビューに盛り込むところまで計画していくことが大切です。
そんな6つのリーダーシップスタイルは以下の通りです。
目次
Coercive leadership style: The boss
Coercive leadership style (強制型リーダーシップ)は、「俺の言う通りにやれ。」というトップダウンで独裁的なアプローチをするリーダーシップスタイルです。チームメンバーには文句を言わせず、リーダーの指示通り機械のように動くことが求められます。そのため、リーダーからの指示がない場合、通常メンバーは自ら動こうとしなくなってしまいます。自分の意思で勝手に動けばリーダーから怒られるので、リーダーの指示を待ってから動いた方が良いと考えるようになるからです。
正に恐怖政治のようですが、ダニエル・ゴールマンによれば、このリーダーシップは、短期的に成果を出すのは効果的な側面もあると述べています。明確な指示が必要な業務においては、無駄なく問題解決ができるので、倒産寸前の組織を立て直す際などは、リーダーの判断が正しければ窮地を脱するリーダーシップを発揮することになります。
ただ、このような強制型リーダーシップスタイルは、リーダーについていけないメンバーも多く退職率が上がります。長期的にはマイナスの影響をもたらすケースが多いのも実情です。
Visionary leadership style: The visionary
Visionary(又はAuthoritative) leadership style(ビジョン型リーダーシップ)は、チームメンバーに対して組織のビジョンや目標を語り共感を得ることで、共にゴールを目指すリーダーシップスタイルです。似たスペルでAuthoritarian(権威主義的) leadershipもありますが、意味が変わりますので注意しましょう。
ビジョン型リーダーシップは、メンバーに信用おくスタイルですので、マイクロマネジメントを行いません。明確な目標を設定し、メンバーの自立性や創造性を尊重することで、仕事に対するモチベーションと満足度を高めていきます。ダニエル・ゴールマンによれば、このビジョン型タイプのリーダーシップはビジネススクールで最も教えられるスタイルであると述べており、Coercive leadership style (強制型リーダーシップ)とは対照的なリーダーシップスタイルです。
このリーダーシップスタイルが効果的なのは、組織や市場の変化が激しく不確定要素が多い時期です。行き先が不明瞭な中であっても、「今日の仕事が世の中の役に立つ/世界を変える」など、組織のビジョンや目標が日々の業務にどんな意味があるのか、をリーダーがメンバーに語りかけることで、モチベーションを高めていくことになります。
Pacesetting leadership style: The hustler
Pacesetting leadership style(ペースセッター型リーダーシップ)は、リーダーが自ら行動し手本となることで、メンバーにも同じレベルのパフォーマンスを期待するリーダーシップスタイルです。このタイプのリーダーは、自分と同じペースでメンバーが仕事をすることを期待し、指示の理由を言わずに仕事を進めてしまうケースも多いため、メンバーはリーダーの指示の意味が理解できず、仕事の進め方が強引すぎると感じさせる危険性があります。
ダニエル・ゴールマンによれば、このペースセッター型アプローチは、リーダーが完璧を求め成功よりも失敗に焦点を当ててしまう場合、上手く機能しないとしています。一方で、部下が自発的な意欲を持ち非常に有能である場合にはチームは高いパフォーマンスを発揮します。ペースセッター型アプローチは単独で行うのではなく、他のリーダーシップスタイルと組み合わせることでより高い効果を発揮するとしています。
Affiliative leadership style: The carer
Affiliative leadership style(関係重視型リーダーシップ)は、リーダーとチームメンバー個々の友好性と信頼性の構築を重視するリーダーシップスタイルです。リーダーや他のメンバーに対して自由に意見を発言する環境を提供し、メンバーに所属意識を持たせることで共通の目標を達成するモチベーションを高めます。
ダニエル・ゴールマンによれば、この関係重視型リーダーシップスタイルは、メンバーを仕事仲間というよりもコミュニティ仲間として位置づけ、仲間の人柄やプライベートも理解し合う環境と整えているとしています。良好な職場環境を形作るのに適しており、退職者を職場復帰させるためにも有効なアプローチでもあります。
このアプローチは、メンバー間の仲間意識を高め、良質な会社文化を構築するにも効果的です。ただ、お互いに厳しい意見やフィートバックをするのに躊躇う可能性もあります。Visionary leadership style(ビジョン型リーダーシップ)と組み合わせることで、お互いに協力しあい、目標に向けて切磋琢磨しあう環境を作り出すことができます。
Democratic leadership style: The listener
Democratic leadership style(民主型リーダーシップ)は、メンバー全員に意見をする場を設け、それに耳を傾け、共に意思決定をしていくリーダーシップスタイルです。メンバー全員が人の多様性や異なる意見を尊重し合うことでお互いにチームへ貢献をしていくことになります。
リーダー、メンバー共に、良い知らせも悪い知らせも常に受け入れる姿勢を持ち、意見の対立を歓迎します。常に自分の意見が聞き入れられるので、メンバーは躊躇なく意見を述べることができます。時には激しい議論を重ねることもありますが、お互いに納得する落としどころを見つけたりします。
そのため、この民主主義型リーダーが率いる組織では、多様な意見や知恵を参考にする習慣が染みついており、革新的なアイデアが生まれる可能性を秘めていると言えます。
Coaching leadership style: The mentor
Coaching leadership style(コーチ型リーダーシップ)は、チームメンバー一人ひとりの成長に重点を置いており、リーダーは個々のプライベート及びキャリアの長期的なゴール実現のために時間を惜しみません。
「ゴール実現のためにどうしたら良いと思う?」
「なぜあなたはそう思う?」
「私はあなたにどんなサポートができる?」
など、様々な質問をメンバーに投げかけることで、個々に考えさせる機会を与え成長を促します。必要に応じてメンバーをサポートしたり、時にはメンバーの能力以上のタスクに挑戦させ、上手く行かなかった場合は、次からどうしたらいいのかを考えさせる機会も与えます。このように、成功体験や失敗体験を積み重ねていくことでメンバーがさらなる成長をすることを期待します。
コーチ型リーダーシップは、1対1のコミュニケーションをとる場面で有効に機能します。
「君は○○はとても得意だね。でも△△をやるときはいつも上手く行かない。それはなぜだと思う?他のやり方でできる方法はどんなものがあると思う?」
このように、コーチ型リーダーはメンバー一人ひとりと向き合ってリアルタイムでのフィードバックを与え、目の前の問題解決よりも個々の成長に重きを置きます。
まとめ
以上が、MBA受験のエッセイ対策、インタビュー対策において知っておきたい6つのリーダーシップスタイルです。これらをただ参考にして「なるほど、こういうタイプがあるのか。」で終わってしまってはいけません。今までの人生やキャリアを振り返り、自分の性格や強み、弱みなどを特定することによって、自分の現在のリーダーシップスタイルが明確になっていきます。
この6つの中から、自分に合っているリーダーシップスタイルはどれになるか自問自答してみることをお勧め致します。必ずしも一つのスタイルではなく、組織の規模、会社の方針、ご自身の役職によって取るべきリーダーシップを変えていく必要があることも留意しておきましょう。