大企業で出世or起業?MBAはどっちで役に立つのか?
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MBA取得後の企業に戻ってそこで出世を狙うべきか、一念発起して起業するべきかどちらがよいのでしょうか?
これもよく受ける質問のひとつですね。
これから色々述べますが、私の個人的見解としても結論を先に言います。
ずばりMBAは「企業で出世」の方が役に立つプログラムでしょう。
ただし注釈があります。
「取得後すぐに役立てたいのであれば。」
目次
MBAと出世
MBAとはそもそもMaster of Business Administration であり、日本語なら「経営学修士」。経営戦略、ファイナンス、人事、マーケティング、会計、コーポレートガバナンスなどを学び各ファンクションを健全に機能させ企業が最大の利益を生むようにマネージメントするスキルを身に付ける短期集中合宿のようなところです。
MBA学生が何度も何度も訓練するケーススタディは、自分が企業のCEOや、企業に雇われた経営コンサルタントを想定して、自分がCEOならどう判断するか、コンサルタントとしてCEOにどうアドバイスするか、という訓練をします。
これらのケーススタディでは、資金を潤沢に持つ大企業を想定している場合が多いです。そのため、MBA取得後、いきなり大企業の経営幹部とは言わないまでも、ある部門のマネージャーポジションに就くことが出来れば、MBAで訓練したスキルや知識をある程度発揮することができる、と言えます。その評価が認められ出世や階段を昇っていくと、MBAホルダーとしての箔も着いたり、MBAホルダーがゴロゴロいる経営幹部の仲間入り、なんていうことになる可能性があります。
MBAと起業
それでは起業という面で見た場合はどうでしょうか。
世界のビジネススクールを見ても、起業を目指す人たち向けにEntrepreneurship(アントレプレナーシップ)にフォーカスしたMBAプログラムも多くあります。
イギリスの大学審査機関であるQSのEntrepreneurship MBA Rankingsでは、以下がトップ10になっています。
1. Harvard Business School (United States)
2. Stanford University (United States)
3. The Wharton School, University of Pennsylvania (United States)
4. IE Business School (Spain)
5. INSEAD Singapore (Singapore)
6. Massachusetts Institute of Technology (United States)
7. London Business School (United Kingdom)
8. Babson College, F.W. Olin Graduate School of Business (United States)
9. Columbia Business School, Columbia University (United States)
10. Northwestern University (United States)
といっても、これを見ただけでは、ただ単にMBAのトップスクールがずらりと並んでいるだけのような感じであまり参考にならないかもしれませんね。
これ以外でEntrepreneurship(アントレプレナーシップ)に強いスクールというと、私の肌感覚では、香港中文大学(CUHK) (Hong Kong), Hult International Business School (Global), Queensland University of Technology (Australia)などでしょうか。
いずれにしても、このようにEntrepreneurship(アントレプレナーシップ)の重要さをアピールして起業家育成に注力しているスクールは多く存在するわけです。
アントレプレナーシップのケーススタディ
このようなスクールでは、Entrepreneurship(アントレプレナーシップ)向けのケーススタディを用意しているでしょう。たとえば、以下の項目にフォーカスしたケースです。
どのようなアイデアで起業するのか?
どのようなタイプの人材を集めるのか?
商品は特許とるのか?
商品は他社とどう差別化するか?
価格はどうするか?
販促はどうやるのか?
どの流通経路で売るのか?
3年後、5年後はどのような成長戦略を立てているのか?
ただし、もちろんあくまでもケーススタディなので、一般的にいってMBA在学中にプログラムの一環として実際に企業を興す、というところまではいきません。せいぜい、在学中にできることと言えば、成功する新しいビジネスの青写真をつくって投資家に融資を求めるビジネスプランを作る、というところまででしょう。(もちろんMBA取得後にそのプランで仲間と実際に起業することは考えられますが。)
将来起業を目指して、銀行や投資家から融資を募って、起業する場合は、この手の訓練は有効です。ただし、MBAで学んだ知識だけで実際に起業できるほど甘くはありません。
起業で必要なスキルと知識
実際にイチから企業する場合、初期段階では如何にコストをかけずに自社ブランドを広め、継続的に受注できるか、にかかっています。ホームページを作成するスキルも必要ですし、セールスレターをつくる文章力、見込み客に対してクロージングする交渉力も必要になります。
つまり起業の初期段階では、仕事の大部分が「マーケティング」と「セールス」に集中することになります。
起業初期段階では、MBAで学ぶファイナンスのCAPM(資本資産価格モデル)や会計のROI、組織行動論のHerzberg’s Motivation-Hygiene Theoryなどは役に立たないです。イチから起業する場合は、理屈なしでとにかく継続的に集客し受注をもらうことに集中することになるためです。
立ち上げがうまく行き、順調に会社が成長していくと、今度はMBAで学んだ知識が徐々に役立ってきます。人を雇って仕事を任せたり、組織を整えたり、積極的に投資したり、とMBAのケーススタディで訓練したスキルが必要になってくるからです。MBAで構築したネットワークを使ってかつてのクラスメートと提携なんていうことも出てくるでしょう。
ただし、これは起業から数年後の話です。冒頭でお話しした通り、取得後すぐに役立てることはできません。一般的に起業ではMBAで学んだスキルとはまた別のスキルが必要になるんです。
まとめ
冒頭で結論としてお話したとおり、MBA取得後すぐにその知識を生かしてバリバリ活躍したいのであれば、企業に入って出世を目指すことです。
イチから起業する場合、融資のためのビジネスプランを作成するときはMBAの知識が役に立ちますが、実際に立ち上げると、とにかく継続的な集客と受注にかかってきます。その場合は優れた「マーケティング」と「セールス」のスキルが必要になります。
起業して会社が成長してくると、徐々にMBAで学んだ知識を発揮する機会が訪れることになります。
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